司会者

結婚式の披露宴に、このごろ司会者が必ずいるようになった。そして多くの場合、その
司会れが、目ざわり、耳ざわりである。
放送がさかんになって、聴視者参加得組がふえ、必然的に司会及び司会業がクローズ・アップされて来た。

そして、かならずしも満点とはいえない、かけ出しの司会者もいるのに、それらの言語動作がしろうとにまねられて、歯の浮くような司会者を、結婚式に登場させる。
いっぱししゃれているつもりだし、本人はうまいと思っているのだから、始末がわるい。まず本日の盛宴に司会者の役をひきうけた誰々である、と名のる。
司会者の名などは聞く必要はない。中には何故引き受けたかを長々としゃべったりする。
だいたい、しろうとの社会者はしゃべりすぎる。
司会者は、いかにしゃぺらないかを工夫すべき職業なのに、しゃべってばっかりしるのがいいと思っているらしい。そして、来賓に祝辞をお願いして、終わると、その批評をしたりする。
大へん結構なおことばで、さぞかし新郎新婦は感激していることでございましょう、などという。
バカバカしい。
司会者などに聞かせるつもりはないのに、失礼である。
その上、拍子をしろの、どうしろのと余計なことまで注文し、最後に、これで終わりますお帰り下さいなどと、式の日の忌みことばを平気で使っている。
もう一つ気に入らないのが電報の披露。

安上りのきまり文句の電文を、レイレイしく読み上げて、一々差出人の名を言い立てる。わざわざやって来た者は、名もなき参列者にしておいて、来ないで電報ですませた者を尊重するのは片手落ちだ。 〈三七・六)

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