カテゴリー:Ⅲ

  • ノミの歌

    満州のハエもひどかった。A型パラチフスが連隊じゅうにまんえんして、われわれは使所のガラス窓に紙をはってそれを黒く塗ってハエの行動を封じる、というような素朴な防禦法を講じた。食器を煮たり手の消毒を励行させたりしたが、すべて…
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  • マラリヤ

    百日余りにわたった山古島の森雨のもととなった、ピンフの森の火事は、マラリヤ予防のために、宿営地の付近の政のようなくさむらを刈りとって焼き払った火の延焼だが、そもそもその予防法は、考えてみればずいぶん原始的で素朴な方法だ。…
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  • 霖雨

    霖雨(りんう)という語は、日本ふうに読めば「ながあめ」と読むより仕方がない、日本の長雨は五月と十月とにあり、秋の長雨をとくに「秋桜」(しゅうりん〉といったりする。 中国での意味は、霖とは「三日以上降りつづく雨」のことだ…
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  • 見づらい

    日本陸軍の有名なリンチは海軍とも違い、また同じ陸軍のなかでも部隊によって違い、さらに中隊のなかでもまた分隊によって違いがあった。 軍の上層部ではずいぶん心配してやめさせようとした。その方針で中隊長は精神訓話をする。しか…
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  • 軍隊語

    赤紙の召集令状をもらって星一つの新兵で入隊したら、馬部隊であった。古兵たちがキンポウというので考えてみたら、近衛の砲兵隊で近砲というわけだった。しかしわれわれはその兵営を借りただけで、間もなく満州に送られて山砲連隊を編成…
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  • 大陸の水

    今年、関東は異常な潟水に見舞われた。 夏の前は貯水池の水が文字どおり底をついて東京は断水に苦しめられ、夏のあとは、とりわけ九月は照りっぱなしで雨が降らなかった。こんな年は珍しいが、しかしたまにこういうことでもないと、わ…
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  • 旅のふしぎ

    旅というものには、ふしぎな行き会いがあるものである。 鹿児島県の指宿をたって霧島温泉に行き、宮崎に出、青烏に遊び、瀬戸神宮まで行った前後四日ほどのあいだ、わたしは東京の人らしい三人づれと、あとになり先になり会っては別れ…
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  • 八代湾のほとり

    天草をひき上げて、一旦熊本に行き、さらに南にくだって、今度は逆に、九州の西海岸を鹿児島県の阿久根から熊本まで、ところどころ歩きながら、あちこち見歩いた。 黒の瀬戸の潮流を見たり、万葉に出てくる水島だと言われているところ…
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  • 京のある日

    十一月十一二日〈金曜日〉 午後から三千院に行ってみる。 三千院をえらんだのは別に深い意味はない。何年か前に大原の寂光院ヘウィークデーの午後、まさか人が出ているとは思わないので、しずかな大原を楽しもうと思って出かけて行…
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  • 「はっかり」不乗記

    国鉄にまつわる一つの美談である。と言っても修身の教材にはならない、わが家のほんのささいな、ないしょごとにすぎないが。 私は去年の十二月十日の「はっかり」の試乗に誘いをうけた。本来なら何はおいても出かけるところだ。しかし…
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2019年12月
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